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画面の向こうへ:カトマンズで過ごした共創の2日間

WTの仕事のほとんどは、画面越しに進んでいきます。チャットのスレッド、ビデオ会議、日本とネパールの拠点の間を行き交うドキュメント。それで十分に回りますし、実際うまくいっています。それでも時折、「同じ部屋で、同じテーブルを囲み、同じお茶を飲む」ことがどれほど大きな可能性を持つのかを思い出させてくれる出来事があります。

この7月、その出来事はカトマンズのドアをノックしてやって来ました。

株式会社レジリンクス(ResiLinX)の視察団を、2日間のビジネストリップとしてお迎えしたのです。視察団を率いたのは、代表取締役の岸本昂也氏です。ここで大切なことをひとつ。レジリンクスは、WTと新しい事業を共に育てる共創パートナー(ビジネスパートナー)です。この2日間、視察団の皆様は、複数のビジネストピックについてWTの開発チームとのグループディスカッションに参加することで、ビジネスとプロダクトへの理解を深められました。この旅の本質は、まさにそこにありました。

その2日間の様子をお届けします。

1日目 — ひとつの部屋に、すべての視点を

初日の朝は、カンファレンスの日らしく早く始まりました。プロジェクターの確認、席次の調整、印刷したアジェンダに丁寧に書き込まれるWi-Fiのパスワード。朝9時には、カトマンズ市内のホテルの会議室に人が集まり始めます。日本からの視察団、WTの開発チーム、そして現地業界からのゲストの皆様が、ウェルカムティーを片手に席についていきました。

こういう部屋には、独特のエネルギーがあります。これまで画面の小さな四角の中でしか会ったことのなかった人たちが、握手を交わし、旅の話で盛り上がり、初対面ならではの小さな戸惑いに笑い合う。そんな光景がそこかしこにありました。

カトマンズのホテル会議室で行われた、レジリンクスと開発チームのセッション

午前はレジリンクスの時間でした。2部構成のブリーフィングで、まず岸本氏が事業のビジョンと目標を、続いてプロジェクトマネージャーが具体的な計画を語りました。この事業はどこへ向かうのか、プロダクトは何を実現すべきなのか、なぜそれが重要なのか。WTのエンジニアの多くにとって、仕事の背景にある「なぜ」を、それを思い描いた本人たちから直接聞くのは初めての経験でした。コードとはまったく関係のないメモを取る姿が、あちこちで見られました。

午後は、視点がビジョンから「現場の真実」へと移ります。この事業に関わる分野で実際に事業を営む現地の実践者の方々が、ここで本当に機能するものは何かを語ってくださいました。制約、季節、想定外の出来事、そして「やってみた者にしか分からない」教訓。現実を生きてきた人の話を聞いた後では、計画は必ず違って見えるものです。今回も、良い意味でその通りでした。

この日の中心 — グループディスカッション

そして、WTが最も楽しみにしていた時間がやって来ました。フォーマルなプレゼンテーションはオープンなグループディスカッションへと切り替わり、部屋のかたちも変わります。視察団のメンバーと開発者が同じテーブルにつき、市場環境、現地適合性、規制、パイロット事業の構想と、ビジネストピックを次々に共に議論していきました。

本当の意味で理解が深まったのは、この時間でした。市場についての質問がプロダクトロードマップの議論に発展し、規制についての指摘が、計画が静かに抱えていた前提をひとつ塗り替える。問いを重ねるごとに、パートナーの皆様のビジネスとプロダクトへの理解は解像度を増し、WTの理解もまた深まっていきました。ハイティーの時間を迎える頃には、抽象的だった要件は、アクションアイテムと担当者・期限を備えた具体的な共通の方向性に変わっていました。

締めくくりは伝統に則って、全員が「本当に写りたくて写った」集合写真です。

2日目 — 会議室を出て、フィールドへ

ビジネスプランは会議室でなら生き延びられます。しかしフィールドで生き延びられるかどうかは、まったく別の問題です。2日目は、それを確かめに出かけました。

朝7時45分、バンがホテルを出発。この日のルートはカトマンズ盆地を丸ごと巡るツアーのようなものでした。まず北へ、それから南へと大きく回り、移動の合間には車窓を流れる街並みを眺めながら、視察団の皆様に休んでいただきました。

ヘアネットとマスクを着けて現地事業者を視察する視察団。その場で質問が飛び交う

盆地の南北にある現地の事業者を視察しました。前日までスライドの中にいた視察団が、ヘアネットをかぶり、実際の仕事場に身を乗り出す。指をさし、質問を重ね、目の前の光景を前日聞いた話と照らし合わせる。その姿には、何とも言えない良さがありました。1日目の議論がフィールドで何度もよみがえり、今度は本物の実例が目の前に立っていました。

視察先の現地事業者の仕事場で作業するスタッフ

視察の合間には、この国そのものを感じる時間も作りました。スワヤンブナートの丘に登り — 盆地を一望するパノラマは無料ですが、住み着いた猿たちは手に持った食べ物という「拝観料」を喜んで徴収していきます — カトマンズ・ダルバール広場とパタンの旧市街を歩き、夕方には川辺で灯りと祈りの声が一日を締めくくるアーラティの儀式を見学しました。

世界遺産カトマンズ・ダルバール広場の寺院

ビジネストリップの寄り道に見えるかもしれません。しかし、そうではありませんでした。ある土地のために何かを作るのなら、その土地を肌で感じるべきです。そのリズムを、人々を、夕暮れを。パートナーの皆様が、これから事業が育っていく国を体感される様子は、それ自体がもうひとつのブリーフィングでした。

2日間が本当にもたらしたもの

こうした旅は、開催した会議の数や発表したスライドの枚数で測りたくなるものです。しかし、本当のリターンはスプレッドシートには収まりません。

共創が最も機能するのは、双方がドキュメントだけでなく「文脈」を共有できたときです。ブリーフィング、グループディスカッション、フィールド視察、猿との攻防、そして話すことしかやることのない長い車中。2日間を共に過ごした後の相互理解は、それ以前とは質的に違うものになっていました。パートナーの皆様は、現地の実情への確かな理解と、自分たちのプロダクトを作るチームとのより近い関係を持ち帰られました。WTの手元には、共に育てるビジネスの解像度の高い姿と、ビデオ会議なら何週間もかかったはずのいくつもの意思決定が残りました。

チャットとビデオ会議の日々は、もう再開しています。けれど、その読み味は以前とは違います。どのメッセージの向こうにも、顔があり、共有した冗談があり、寺院の中庭や現場の通路の記憶がある。それが共創の静かな力です。関係が良くなったから、仕事も良くなる。

次のフェーズ、そして次回の訪問を、今から楽しみにしています。

共創パートナーとのプロダクト開発をご検討の際は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。