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People and Culture 部のコミュニケーションについての取り組みを紹介

2024-08-07

私たちは2024年に5期目を迎え、多くの信頼と支援のおかげで60名を超えるまでに成長しました。

メンバーが増えるにつれ、さまざまなバックグラウンド、特性、経験、スキル、マインドが存在する環境になり、多様な視点に触れる機会が増えています。アイディエーションやディスカッションの際に新たな驚きや気付きを得られることがとても刺激的です。

People and Culture 部の新しいミッション

People and Culture部では、「コミュニケーションで互いをエンパワーメントする」ことをテーマに学びと議論を重ねてきました。

その結果、以下のミッションを定め、2024年8月から活動を開始することになりました!

コミュニケーションを通じて、互いのモチベーションと成長を後押しする

最初の取り組み

第一弾として、コミュニケーションについて考えるきっかけを作るため「エンパワード・コミュニケーションへの入門」と名付けた説明資料を作成しました。

この資料を皮切りに継続的にコミュニケーションをテーマとした思考エクササイズやグループディスカッションを実施することで、意識向上に取り組む予定です。

コーチング、1on1、リーダーシップについて学ぶ機会を設け、コーチコントリビューション株式会社様のコーチングプログラムを参考に、エンゲージメントやリーダーシップ能力を測定することで、チームの現状を評価することにしました。

当社はリモートワークが中心であり、多様なチームながらも、各メンバーが心地良く業務に励み成長し、チームのスループットが上がり、効果的にプロダクト共創する環境を作るには、建設的で一貫したコミュニケーションが大きな役割を果たすと信じています。

具体的な成果を、随時共有していく予定ですので、今後の活動にぜひご注目ください。この取り組みが少しでも皆さんの参考になりましたら幸いです。

エンパワード・コミュニケーションへの入門

この文書の目的

  1. 実例を通じて組織内の一般的なコミュニケーションの問題を示すこと これらの例によって、効果的なコミュニケーションの重要性を強調し、互いをエンパワーする方法について考える機会を作ります。 後に、各例に対して理想的なコミュニケーションアプローチの例を示します。

  2. エンパワードコミュニケーションを学び、実践する計画を説明すること

この文書の作成方法

この文書に記載している説明や例は、いくつかの書籍とコーチコントリビューション株式会社様のコーチングプログラムを参考にしています。コーチコントリビューション株式会社様は組織と個人の成長を支援するために14年間のコーチングサービスを提供しており、400社以上の企業が支援を受けています。

この文書の対象者

この文書は全メンバーを対象としています。エンパワードコミュニケーションはリーダーからメンバーへの一方向のコミュニケーションではなく、全員が理解し実践することで、互いをエンパワーできるものだと考えています。手始めにこの文書を読み、互いをコミュニケーションでエンパワーする方法について考える時間を持ちましょう。

注意:

この文書がすべての事柄を網羅していないことを認識しています。互いをエンパワーするためのコミュニケーションを行うには、個人的な学びと経験、環境の整備、そして組織システムの構築が必要になります。この文書を通じて、高いモチベーションと成長を育むための本格的な取り組みを開始したいと考えています。

注意:

モチベーションと成長において、コミュニケーションは唯一の要素ではありません。他にも、ミッションや目標が明確であるか、それが各自にとって意味のあるもので達成したいと感じるか、責任が専門性やキャリアに見合ったものであるかどうかといった要素が含まれます。これらの要素も強化していきます。

エンパワード・コミュニケーションとは

エンパワード・コミュニケーションは、適切なコミュニケーションを通じて、互いのモチベーションと成長を後押しするものです。

事例を見ながら、どうしてエンパワード・コミュニケーションが私たちにとって大切かについて思考を巡らせてみましょう。

ちょっと想像してみよう。あなたはメンバーで、リーダーに意見を伝えました。

リーダーがそれを鼻で笑ったり(無意識に)、小馬鹿にしたり(悪気なく、ユーモアありき)、明らかにイライラしている表情や声のトーンだったり、全否定したり、話を途中で遮ってダメ出ししたり、「私の経験上にそれはないね」といったり、君の考えはまだ甘いからもうちょっと調べてから発言してと言ったり、経験もないのに何を根拠にそんな意見をいっているのかと問い詰めたり、その意見は今重要ではないでしょう、ちゃんと考えてから発言してから言って、、、のようなことコミュニケーションを取りました。

さて。あなたは、次から率直に意見を言いますか?

後日、リーダーが「みんな、気軽に何でも言ってくれ。小さいことでもいいから率直に意見をだしていこう。ボトムアップは大事だ。」なんって言ってきたら、あなたはどう思いますか?

そのリーダーを信用できますか?それリーダーについていこうと思いますか?そのリーダーのために努力したいと思いますか?そのような環境で組織の成長に貢献する意欲が湧きますか?

このように文面で見ると、そのようなことはあり得ないだろうと思うかも知れないです。

しかし、残念ながら、多くの企業が似た状況が発生しています。

もう一度想像してみよう。

あなたはリーダーです。

あなたはプロダクトのUXや要件に不備や改善点があっても、チームメンバーが積極的に指摘しないことを不安に思っています(なんでメンバーがこれほどやる気がないのか、なんで品質のことを真剣に考えないのか) そのため、あなたはチームメンバーに下記のメッセージを送りました。 「みんな、もっと責任感を持って、品質に真剣に取り組みましょう。一緒に力を合わせればもっと良いプロダクトが作れる!」 しかし、それ以降も、メンバーから積極的な行動は見られませんでした。

どうしてでしょうか?

少し前に下記のできごとがチームで起きていたらどうでしょうか?

メンバーがプロダクトのUX問題を見つけて、Slack でリーダーであるあなたに共有しました。 あなたにとって、それは重要ではないことでした。 あなたはメンバーにこのように返信しました。 「UXの問題は今は気にしないで大丈夫。アサインされているタスクを完了することにフォーカスしてね!」 メンバーが納得していなかったが「わかりました」と返信し、タスクを集中しました。

この状況の理由は、メンバーがやる気がないためでしょうか?メンバーが品質に対して真剣ではないためでしょうか?

リーダーとして、あなたはどうすべきだったでしょうか?

組織は様々なバックグラウンド、特性、経験、スキル、マインドのメンバーで構成されます。

そしてそれぞれが何らかの役割が持ちます。エンジニア、デザイナー、リーダー、PdM、マネージャー、部長、CEO、CTO,などなどです。

職務経験が浅いメンバーもいれば、5年や10年といった長い職務経験を持つメンバーもいます。

一部の企業では、CEOや部長といった肩書きを持つメンバーが優れた人間として扱われる、カースト制度に似た階層構造が依然として存在しています。トップダウンのコミュニケーションが常態化しており、会議はしばしば怒鳴り声で満たされ、チームメンバーは萎縮するか、神経を尖らせるかしています。

そのような環境では、誰もが意見を言ったり、新しい挑戦をしたりすることを恐れるようになります。その結果、離職率は高くなり、メンバーや組織の成長が停滞します。中にはメンタルヘルスの問題を抱えるメンバーも出てきます。

私たちは、そのような環境を望んでいません。

私たちの会社にあるのは「役割」と「責任」だけです。

例えば、

  • CEOは天才でも優れた人間でもありません。CEOの責任は、組織全体の可能性を最大限に引き出し、組織を生き残らせ、成長させ、ミッションに向かって進めることです。

  • CTOは組織の目標と戦略の設定に参加し、技術戦略の実行をリードします。

役割やスキルには違いがありますが、組織内のすべての人は「専門家」として存在しています。

一部の企業には、リーダーが怒鳴ったり、机を叩いたり、厳しい命令を出したりすることを「マネジメント」と定義しています。

彼らは「プレッシャーをかける必要がある」「人を成長させるために必要だ」「アメとムチの両方が必要だ」と自分たちを正当化します。

そして「それくらいは当然のことだ。それができない者は能力が低く、ここにいる必要はない」と結論付け、同じことを繰り返します。

私たちは違います。

私たちは、そのような組織になることを望んでいません。

なぜでしょうか?

メンバー同士が高いレベルの相互理解、尊重、配慮、思いやりを持つ環境では、意見を率直に共有し、問題点を指摘することができます。

そのようなチームは、より協力的で、モチベーションが高く、生産性も向上します。

多くの研究がこれを示しています。

深刻なハラスメント(暴力、激しい叱責や人間否定など)でなくても、ちょっとした命令口調や高圧的な態度、理解や尊重が欠けたコミュニケーションによって、メンバー間の信頼関係が傷つく、メンバーの意欲が低下する、メンバーの作業の生産性と品質が低下する。それが周囲にも広がり、あっという間に組織を蝕みます。

例えば

  • これみよがしにするため息をする、表情に呆れが現れる

  • 困っている部下に気付きながら、放っておいたり、然るべき説明をせず、仕事を巻き取る

  • 暴言こそ口に出さないものの、相手を責める

  • 自分のやり方を押し付けて、他者のやり方を軽視するような言動をみせる

  • 「冗談だからね」と断りながら、からかう

  • 結果が期待通りじゃなかったり、理解にズレが起きていると、イライラ態度、高圧的な言葉になる

  • 問題が起きるとメンバーのやる気や能力だけを問題視する

  • 質問をすると、あからさまに面倒そうな顔をしたり、そのぐらい当たり前でしょという言動をする

  • 意見を言うと、「細かい」「面倒なやつ」「何にもわかっていない」というような言動をする

このようなことが組織に蔓延しても、法的な責任が生じることはないです。

しかし、一人でもこのような人が組織にいると、メンバーが積極的に発言することをためらう、自発的に組織に貢献することが激減します。

ちょっとしたネガティブ(非建設的な)コミュニケーションを埋め合わせするには、3~5倍ものポジティブな努力をしなければならないです。その結果として、組織の成長と業務の品質が下がり続けます。場合によっては、信頼関係を修復しきれない可能性があります。

命令口調や高圧的な態度に耐性を持っている人もいる。そのようなことをバネにして、目指している目標に向かって進む人です。

しかし、そうした耐性を持っている人は少数派です。大多数の人々は、ギスギスした環境で働くことでストレスを感じ、仕事のパフォーマンスが低下します。

時代が変わっています。以前、当たり前だったことが、今ではハラスメント、搾取、差別、人権侵害とみなされることが多くあります。度々ニュースで大企業、教育機関、政治において、一世代前の慣行が問題視され、炎上することがあります。

世代間や人それぞれのバックグラウンドによって、「良し悪し」や「善悪」にギャップが生じるという事実がある以上、組織の全員が、自身の行動や言動がチームに与える影響を常に意識することが求められます。

2つの事例をみてみましょう。

事例1

登場人物

  • メンバーA:入社3年目。ハードワーカーで仕事に高いやりがいを感じている

  • メンバーB:入社6ヶ月目

状況

メンバーBが指示待ちになったり、「どうしたらいいですか?」と聞くことが多い。

メンバーAが最初は丁寧に答えていたが、徐々に、なんで自分から本や記事を読んだり、オンラインコースを受けたり、調べたりしないのかと思うようになった。イライラすることが多くなりました。そして、徐々にメンバーBが仕事への熱意がなく、社会人として当たり前のことができないという印象を持つようになりました。

それ以降、メンバーBから質問があると、メンバーAが下記のように答えることが多くなりました。

調べてから言って

いちいち聞かないで自分でやって

メンバーBからの質問が減り、しばらくしてから退職することになりました。

人事部がメンバーB退職の理由を確認したところ、下記の理由です。

怖くて質問ができず、仕事がしづらかった

メンバーBが他の領域に強い関心があったが、会社の都合上、経験があまりない今の業務をやることになった。新しい領域を学ぶことを楽しみにしていたし、会社からは「一から丁寧に学ぶことができる」と言われていて、安心していたが、裏切られたと感じた。

人事部がメンバーAに事情を確認するため、これまでの経緯を詳しく質問したところ、メンバーAが反発しました。自分で調べる能力は大事なものだから「調べてから質問して」と言ったことに問題があると思えないとのことです。この件以降、メンバーAが仕事に対する熱意(人事部や会社への信頼)を失い、以前のような成果が出せなくなりました。

互いの状況や期待値に対する理解が不足してることが原因か?メンバーがモチベーションを維持向上して、成長できる環境をどうやって作れるのか?

事例2

登場人物

  • 上司:業務に関して10年以上の経験を持ち。パワハラな職場で勤務した経験もある。ハラスメント研修を受けていて、メンバーとの関わり方に気をつけている。「できるだけ褒めて育てる」ことを方針としている。

  • 部下:経験は浅いが、上司にとって優秀な部下である。

状況

上司が部下を信頼していて、よく「君はとても優秀だ」「私は細かく指示しなくても、君が背景を汲み取ってくれて、それに応えることができる」と褒めていた。

上司が部下にとある資料の作成を依頼しました。

部下が、細かい確認や中間成果物のレビューを上司に依頼せずに、資料を完成し、上司に見せました。

上司が、資料のできにがっかりし(イメージしていたものではなかった)、ため息をつきながら、資料の目的や必要な要素、手順などについて丁寧に説明しました。そして、最後に「次からは,

わからないことがあったり、悩むことがあったら、気軽に聞いてくれ」と言いました。

上司が、声を荒げることは決してなく、同じミスが起きないように、丁寧に説明しました。

部下が落ち込み「わかりました」とだけ答えました。

それに対して、上司がフラストレーションを感じ。「こんなに優しくしているのに、一体に何が不満なのだろう」と心の中で思いました。

部下が、褒めてくれて、詳細な指示なしに任せてくれたのに、結果を全否定された気持ちになりました。それ以降、部下がその上司と仕事はしたくないと思うようになりました。

矛盾したメッセージ(ダブルバインド)が原因か?どうすれば必要とされている資料を作成できるのか?

事例3

登場人物

  • メンバーA:会社の初期メンバーで多くの業務や役職を経験している

  • メンバーB:最近入社したメンバー。経験は浅いが、成長意欲がたか、特に業務を改善して効率を上げたいと考えている。

状況

メンバーAが最近うんざいしている。理由は、メンバーBがいろいろとアイディアを出しているが、メンバーAからすればその案が以前うまくいっていないものだったり、的を得ていないと感じるものだったりする。

メンバーAがメンバーBに「それは前にやったけどうまくいかなったよ」と教えて上げましたが、メンバーBが納得しませんでした。

メンバーAが「どうしてもやりたいのならやって見れば」と伝えました。

メンバーBがアイディアを実行しましたが、うまくいきませんでした。

メンバーAが「だから言ったのに」「無駄だったね」と伝えました。

それ以降、メンバーBが「どうしたらいいですか」「これまでどうしていましたか」と聞くようになりました。

メンバーAがイライラし「少しは自分の頭で考えて。このぐらいのことを自分でできない人はこの仕事に向いていないよ」と突き放しました。

メンバーBが退職しました。

メンバーAが人事に「メンバーBのような人はこの仕事に向いていない。次からはもっと自分で考えられる人を採用してよ」と言いました。

経験値や情報の非対称性が原因か?どうすれば、メンバーBの意欲を組織成長に活かせるか?

ほんの一例ですが、然るべき学びと組織的なシステムがなければ、このようなことが組織に蔓延する。メンバーAとメンバーBの意欲だけではなく、その周辺にいるメンバーにまで、悪影響が及んでしまう。組織の損失が計り知れない。

役割やスキルの度合いに関係なく、メンバー同士が健全に意見を言い合い、気持ちよく、生産性に業務をこなすことができれば、メンバーと組織の両方の成長が加速する。

これは決して、アットホームな環境を作ることでも、言いたいことを言わずに妥協する「ヌルい」環境でも、プレッシャーがない環境でも、何でも許される環境でも、批判や指摘がない環境でも、高い目標を設定しない環境でもないです。このような環境では学びが少なく、挑戦が少なく、結果的にメンバーも組織も成長しない。

私たちは目指すのは「右上のブロック = 環境が良く、仕事のレベルが高い」です。

仕事のレベルが低い

仕事のレベルが高い

環境が良い

野放し組織
コンフォートゾーンから抜け出せず、仕事の充実感、成長がない

学習し成長する組織
建設的な衝突と高いパフォーマンスで継続的に学習し成長する

完了が悪い

無責任な組織
責任を持つことを避けて、最低限のことだけをやろうとする

怖い組織
ノルマを課せられ、不安と罰によってコントロールする

人間という生き物を少し理解しましょう。

人は自分のことも他人のこともよくわからず、勝手に思い込んで、期待して、不安になったり、傷ついたり、怒ったり、悲しんだりします。

人は異なる解釈にである、反対意見にであうとき、ついに防衛本能が起動して、自分を守ろうとします。自分を正当化しようとします。

そこら中にバイアスが潜んでいる。

これらが人間の本能です。意識せずに、訓練せずに、本能を抗うことはできないです。

人は誰もが異なる感覚を持ち、同じことを経験しても同じように感じたり考えたりはしません。同じ花を見て「美しい」と言ったとしても、ある人はその色を、ある人はその形を、美しいと思っているのかもしれません。仮に同じ色が好きだとしても、なぜ好きなのか、どのように好きなのかは違うかもしれません。私たちは誰とも完璧にはわかり合えません。

皆それぞれが異なる感覚を持ち、それゆえに異なる価値観を持ち、ゆえに同じ現象に対して異なる感情を抱き、違った論理で結論を導きます。

専門用語では、皆それぞれ異なる「メンタルモデル」を持っているといいます。

だからこそまず、自分の常識を疑わなければならない。謙虚でなければならない。思いやりを持たなければならない。互いに相手と状況を知り理解するよう努めなければならない。

どうしてその状況が発生したのか、何が事実なのか、相手がどのような理解でいるのか、相手が何を大切しているのか、相手が何に困っているのか、相手が何を感じているか、自分はどうなのか、組織のシステムどうなっているか、自分がどのようなことをすべきか、などなどを考えることをくせづける必要があります。

状況に対して、脊髄反射的に反応してはならにです。暗黙的に何かが当たり前であると思ってはならないです。暗黙的に何かを期待してはならないです。他責に走ってはならないです。

ここでもう1つ事例をみてみましょう。

登場人物

  • Aさん:チームリーダー

  • Bさん:チームメンバー

状況

Aさんが、Bさんに、とある資料の作成を依頼しました。Aさんがその資料をクライアントに説明する予定です。Aさんからすればそれほど難しくないタスクで、Bさんがその作業をきっとできると期待していました。Bさんも資料作成を任せられたことが嬉しく、すぐに着手しました。

Bさんが資料を作成し、Aさんに見せました。

Aさんが資料の出来上がりに失望しました。「クライアントに説明するため、資料を十分なクオリティでやってほしかったけど、やってもらえなくて困った」と思いました。そして、Bさんに「簡単にできることだと思う。このぐらいのことができないと困るね」と発言しました。

Bさんが、困惑しながらも「すみません」とだけいい、無言になりました。

それ以降、AさんとBさんが互いに対して苦手意識を持つようになりました。

それぞれがどうすればこの自体を避けられると思いますか?組織がどのようなシステムを持つべきだと思いますか?

人は期日や責任に追い込まれるほど、「システム」の問題を考える余裕がなくなります。言葉を選ぶ余裕がなくなります。自らのプレッシャを分からせようと、相手を責めだす。無意識に相手に無能感や罪悪感を与えるような言動をしてしまいます。

状況を冷静に見るためには、「システム」の課題を認識するには、時間的・心理的なリソースの余裕が必要となります。

もう1つ事例を見てみましょう。

登場人物

  • Aさん:チームリーダー

  • Bさん:最近チームに入ったメンバー

状況

Aさんが、Bさんに、とあるタスクを依頼しました。

Aさんが、Bさんが最近チームに入ったこと(経験不足であること)を考慮して、タスクについて詳細な指示をしました。

Bさんが、仕事への意欲が高く、より良くしたいと思っています。そのため、積極的にアイディアを提案しました。Aさんはアイディアを否定することなく、別の機会に試しましょうといいました。

Aさんは「Bさんが経験不足だし、期日までにタスクを終わらせる必要もあるから、今はまずこれまでのやり方でやって欲しい」と心の中で思いました。

Bさんが、続けて他のアイディアについても話し出しました。

Aさんが、途中で話を遮って「ごめん、今は手順通りにやりましょう」と言いました。

Bさんが、驚いた様子で「わかりました」と返事しました。Bさんがそれ以降アイディアを共有することなく、単に言われたことをやることにしました。

Bさんが、仕事が楽しくない、成長できていないと思うようになり、転職しました。

互いの状況やニーズを理解するための努力がなされていると言えるでしょうか?

組織にはどのような持続可能なシステムが必要でしょうか?

「仕事はあまくない」「社会人として当たり前のことができないのが悪い」が一度は脳内に浮かんだことがある人はたくさんいると思います。特に重責を担ったことがある人ではこの傾向が顕著です。人は余裕がなくなると、簡単に結論を出そうとする。つまり「他責すること」は一番簡単です。しかし、それが会社を蝕む。

質問

「何度同じことを伝えても、同じミスを繰り返す人」に、あなたはどんなこと考えますでしょうか?

  • どうして学習しないのか

  • 基本的な能力もないのではないのか

  • どうしてやる気がないのか

  • 私のことを馬鹿にしてるのか

  • これだと話にならない。一緒に仕事したくない

このような考えでコミュニケーションを開始すれば、必ずそれが言動に表れる。感情が高ぶって、大声を出したり、机を叩くなどの行動となって表れることもあるかもしれない。

ではどうすればいいのか?

「個人の問題として考えるのではなく、組織の仕組み、業務の流れ、制度や文化といった領域にまで頭を働かせる」

事例

  • メンバーA:シニアエンジニア

  • メンバーB:ジュニアエンジニア

状況

メンバーAがメンバーBのコードをレビューした際に、ケアレスミスと感じるようなことが多いと感じました。

メンバーAがメンバーBに問題点を指摘して、そのようなミスを少なくできるようにして欲しいと伝えました。

しばらくしてから、再度、メンバーAがメンバーBのコードをレビューする機会ができました。メンバーAが前回と同じようなミスがあることに気づきました。

メンバーAが「前回も指摘したのに、なんでメンバーBが同じようなミスをしてるのか?これでは、仕事に対してやる気があると言えないし、品質に対しても考えが甘すぎる。これでは仕事しているとは言えない」と心の中で感じました。

メンバーAが心の中で感じたことを押さえて、改めて問題点を指摘しました。そして、「その問題点は以前も指定したものだから、再発しないようにして欲しいと伝えました」

メンバーAがきっとこれで、改善するだろうと期待していました。

しかし、しばらくしてから、メンバーAまた同じ問題が起きていることを知り、落胆しました。

そして、メンバーBのマネージャーに下記のように伝えました。

「メンバーBは何ども同じミスをする。彼の理解力や仕事に対する姿勢、仕事の品質に問題があるので、改善の見込みはないです。これ以上チームにおくのは良くない。彼のような人に時間をこのような人は早く辞めてもらった方がチームのためになる」

メンバーAの忠告どおり、会社はメンバーBを辞めさせるべきでしょうか?

問題をどのように捉えるかによって解釈、言動、判断が変わっていきます。

問題を相手に帰属させるのか、それとも問題を「現象」として捉えて、その構造を理解したうえで、自分、相手、組織がどうなっているかに思考を巡らせられるか。

前者は単なる他責。後者は「システム思考」

  • 要件がいつまでもたっても決まらず作業を開始できない

  • 同じ問題が再発してるのに再発防止策が取られていない

  • タスクを依頼したのに報告がない

  • テキストの翻訳を依頼したのに数日たっても翻訳されない

  • バグの修正を依頼したのに1日たっても本番環境に反映されていない

  • タスクの期限が設定されていない

  • マネージメントミーティングでなにかの改善を提案したのに改善されていない

  • なにかの結果を知らせてくれると言ったのに報告がない

  • スクラムをやるべきだと言ったのに未だにやっていない

、、などなど。

あなたがこのような状況に遭遇したらどうしますか?私たちは何をすべきですか?

コミュニケーションの対立をどのように防ぐことために

問題が発生したとき、まず「建設的に互いをエンパワーする責任」があることを思い出しましょう。そして、タスクの達成と問題の解決を分けて考えましょう。まず、協力してタスクを完了しましょう。次に、チームで問題の解決に進みます。

  1. 問題をその場で解決するのではなく、まず理解と期待をすり合わせ、目の前のタスクの完了に集中しましょう。 例えば、バグのリリースが遅れている場合、「なぜ2日経ってもリリースされないのか?報告しないのはなぜ?POが待っていることを理解しているのか?」と感情的に責めるのではなく、バグのリリースが最優先であることを伝え、他のタスクが遅れても構わない(または他の選択肢をとる)ことを確認し、バグ修正の現在の進捗をチェックして、いつリリースできるかを一緒に決めます。つまり、まずは建設的なコミュニケーションで互いをサポートしながら仕事を完了させます。

  2. 問題をバックログに追加し、後でチームとして対処します。 それをメンバーの問題ではなく、状況の問題として追加します。 内省を通じて再発を防ぎ、他人や自分を責めることなく「組織システム」を改善します。

エンパワード・コミュニケーションを組織に浸透させ実践するために

組織にエンパワード・コミュニケーションを広め、実践するために、以下の対策を実施します。

考え学ぶ機会を作る:

  • P&C(People and Culture)部は、月に1~2回、コミュニケーションに関連するメッセージやビデオをSlackに投稿します。

  • 毎月、一部のメンバーと思考エクササイズを実施し、結果を全社に共有します。具体的なケースを分析し、理想的な状態を定義し、それを改善する方法を計画します。 会社内の過去のケーススタディ、書籍やインターネットに記載されているケーススタディを基に、グループディスカッションを行います。 外部の専門家からの支援を受けずに開始しますが、必要であれば専門家を見つけます。

  • 採用前にメンバーに私たちのコミュニケーションの方針を説明します。

  • オンボーディングの流れにコミュニケーション方針の説明を追加します。

  • リーダーやマネージャー向けのコーチングプログラムと1対1のトレーニングを実施します。

  • 全員向けのエンパワードコミュニケーションプログラムを実施します。

定期的なレビュー:

  • コミュニケーションを評価するための自己チェック調査とエンゲージメント調査を実施します。

関係を強化する:

  • チームビルディング活動を通じて、より強固な関係を築きます。

コミュニケーションの問題を共有し議論する方法を持つ:

  • 1対1のミーティングで、マネージャーが良いコミュニケーションと改善点について質問します。

  • P&C部専用のプライベートSlackチャンネルを作成し、コミュニケーションの問題を議論します。

対立にどのように対処するか:

  1. マネージャーまたはP&C(People and Culture)部に問題を共有します。 マネージャーは状況をP&C部に連絡します。

  2. P&C部は関係するメンバーに内省の時間を取るよう依頼します。

  3. P&C部はチームとともに問題を理解するためのミーティングを設定します。

  4. P&C部は他のマネージャーと連携し、ガイドライン、組織システム、または業務フローなど更新し、全社に共有します。