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ローカルLLMとは?ChatGPTとの違いを図でわかりやすく

ローカルLLMとは、生成AIの本体(モデル)を、自社が管理する機材に置いて動かす使い方です。質問や社内の文書を、社外のAI事業者に送らずに使えます。

入力したデータの行き先を比べた図。左のクラウドの生成AIでは、社員の質問と社内の資料が自社の外に出て、AI事業者のサーバーで処理され、回答が戻る。右のローカルLLMでは、質問と資料は自社の中のAIで処理され、外には出ない。

この記事では、ChatGPTとの違いと、ローカルLLMを支える7つの層を、図で説明します。

ローカルLLMとは

LLM(大規模言語モデル)は、文章を理解し、つくるAIの本体です。ChatGPTの中でも、LLMが動いています。

「ローカル」は、自社が管理する場所という意味です。置き場所は、次の3つのどれでもかまいません。

  • パソコン1台
  • 社内のサーバー(オンプレミス)
  • 自社専用のクラウド環境(閉域クラウド)

ChatGPTとの違いは「どこまでを誰が持つか」

生成AIの仕組みは、7つの層でできています。上から、人間、UI(画面)、エージェント、ハーネス、モデル、環境(機材)、電力です。

生成AIを7つの層で表したピラミッドが2つ。上から人間、UI(画面)、エージェント、ハーネス、モデル、環境(機材)、電力。クラウドの生成AIでは、APIの線より下のエージェントから電力までの5つの層をAI事業者が持つ。ローカルLLMでは、7つの層すべてを自社が持つ。

ChatGPTのようなクラウドAIを業務システムから使うときは、API(外のサービスを呼び出す窓口)より下を、AI事業者が持ちます。ローカルLLMでは、すべての層を自社の中に置きます。

なお、APIで使うクラウドAIには、標準では入力を学習に使わない事業者が多くあります[1]。違いは、データがどこで処理され、誰が管理するかにあります。

7つの層は、それぞれ何をしているか

AIの仕組みは、職場にたとえると分かりやすくなります。モデルは物知りな新人、ハーネスは職場のしくみ、人間は決裁する人です。

7つの層の役割の一覧。人間は答えを確かめて決める(職場でいうと決裁する人)。UI(画面)は頼んで答えと根拠を見る(社内の相談窓口)。エージェントは任せる仕事と手順を決める(担当者の職務)。ハーネスは調べる、つなぐ、確かめる(職場のしくみ)。モデルは文章を理解してつくる本体(物知りな新人)。環境(機材)はAIを動かす機械と置き場所(オフィスと机)。電力は機械を動かす電気と冷却(電気と空調)。すべての層を横で支えるものとして、データは検索と学習に使う社内の資料(資料室)、運用・セキュリティは権限・記録・点検をすべての層に(入館の管理)。

ただし、AIは新人と違い、分からないときにもっともらしく答えることがあります。会話をまたいで覚えてもいません。だから、確かめる人とハーネスが要ります。

モデルだけでは、業務に使えない

公開されているモデルは、そのままでは文章を返すだけです。社内の文書を知らず、道具も使えず、答えを自分で確かめません。

モデルだけの場合とハーネスがある場合の比較。モデルだけでは、質問に対して根拠のない、もっともらしい文章が返る。ハーネスがあると、社内文書を探し(RAG)、道具をつないで(MCP)からモデルに渡し、答えを確かめ、だめならやり直させる。根拠つきの回答を、最後に人が確認する。

それを補うのがハーネスです。ハーネスはもともと馬具のことで、力を目的の方向に伝え、危ない方向へ行かないようにつなぎとめる道具です。同じモデルのまま、道具の設計を変えただけで、課題の解決率が11%から18%に上がった研究もあります[2]。

メリットとデメリット

メリット

  • 社外のAI事業者に、データを送らずに使える
  • 使う量が増えても、費用が増えにくい
  • 自社の業務に合わせて、モデルや仕組みを選べる

デメリット

  • 機材と電気の費用がかかる
  • 運用と更新を、自社で行う必要がある
  • 高度な推論では、最新のクラウドAIに劣ることがある

ローカルにしただけで、安全になるわけではありません。社内の閲覧権限や操作の記録は、別に設計が必要です。

ローカルLLMで何ができるか

  • 社内の文書や規程を探して答える
  • 議事録や報告書を要約する
  • 問い合わせへの回答を下書きする
  • 文書を分類し、チェックする

決まった形の作業ほど、向いています。

自社に合う形を、2つの質問で選ぶ

自社に合う形の選び方。インターネットから切り離す必要があれば、完全ローカル(閉域)。必要がなく、社外に出せない情報を扱うなら、その処理だけ社内で動かす併用。扱わなければ、クラウドAIで足りるクラウド中心。

会社で1つに決める必要はありません。業務ごとに選びます。ローカルLLM構築・導入支援のページでは、3つの質問で合う形を確かめられます。

よくあるご質問

ローカルLLMとLLMの違いは何ですか?

LLMは、文章を理解し、つくるAIそのものです。ローカルLLMは、そのLLMを自社が管理する場所で動かす使い方を指します。

ChatGPTをローカルで動かせますか?

ChatGPTそのものは動かせません。ただし、自社の機材で動かせるように公開されたモデルは多く、OpenAIも2025年8月に公開しています[3]。

ローカルLLMの性能はどのくらいですか?

要約や検索などの決まった形の作業では、十分に使える水準になることが多いです。手軽な機材で動く小さなモデルは最新のクラウドAIに劣ることがあるので、同じ作業で比べてから決めます。

ローカルLLMはインターネットなしで使えますか?

モデルを一度取り込めば、手元の機材だけで動かせます。モデルの取得や更新のときは、通信が必要です。

ローカルLLMの電気代はいくらですか?

消費電力 × 使う時間 × 電気料金の単価で決まります。たとえば一般向けで最上位のGPU(最大575W)を、最大の負荷で1日8時間使うと、目安単価31円/kWhで1日約140円です[4][5]。

日本語に強いローカルLLMはありますか?

あります。国立情報学研究所のLLM-jpのように、日本語に力を入れて公開されているモデルもあります[6]。軽くして動かすと日本語の質が下がることがあるので、実際の業務の質問で確かめてから選びます。

ローカルLLMは無料ですか?

無料で使えるモデルは多くありますが、機材、電気、運用の費用はかかります。商用で使えるかどうかはモデルごとに条件が違うので、利用条件も確かめます。

まとめ

ローカルLLMは、生成AIの7つの層を、すべて自社の中に置く使い方です。データを外に出さずに済む一方で、機材から人の使い方まで、自社で用意することが増えます。

当社も、自社の業務ツールのAI機能ごとに、クラウドとローカルを切り替えて動かしています。仕組みと、運用して分かったことは社内の実践事例にまとめました。電力と機材の要件からハーネス、画面、社内への定着まで、7つの層をまとめてご相談いただけます。詳しくはローカルLLM構築・導入支援をご覧ください。

参考文献

  1. OpenAI「Data controls in the OpenAI platform」
  2. J. Yang ほか「SWE-agent: Agent-Computer Interfaces Enable Automated Software Engineering」NeurIPS 2024
  3. OpenAI「Introducing gpt-oss」2025年8月
  4. NVIDIA「Compare Current and Previous GeForce Series of Graphics Cards」
  5. 全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問」(電力料金の目安単価。家庭向けの目安で、法人の契約単価とは異なります)
  6. 国立情報学研究所「LLM-jp」