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[3/4] プロジェクト管理の取り組み:徹底的に効率化

2025-10-16

前回の記事では、当社がプロジェクト管理をどのように体系化し、社内で教育しているかについてお伝えしました。ガイドラインと教育により、信頼できる方法論に基づいてプロジェクト管理を実践しています。

しかし、それだけでは不十分です。プロジェクト管理を品質高く、かつ効率的に進めるためには、徹底的な自動化が必要です。

今回は、当社がどのようにプロジェクト管理のDX化を実現しているかについて、具体的にご紹介します。

誰もやりたがらない作業

プロジェクト管理において、最も大きな課題の一つが「手間の大きさ」です。

従来のプロジェクト管理では、以下のような作業が必要でした:

  • タスクを一つ一つGitHubで作成

  • 各タスクに対して、タイトル、説明、担当者、見積もり、開始日、完了日を個別に設定

  • タスクの依存関係を手動で定義

  • スプリントへのタスク割り当て

  • ステータスの更新

  • 日次・週次・スプリントレポートの作成

一つのタスクを作成するだけで、約30秒かかっていました。

スプリントプランニングで20個のタスクを作成するとなると、それだけで10分。しかも、多くのボタンをクリックし、多くの画面を遷移し、多くの項目を入力する必要がありました。

この作業は、エンジニアにとってもプロダクト・マネジャーにとっても、誰もやりたがらない作業でした。あまりにも面倒で、煩雑で、心理的負担が大きかったのです。

結果として、プロジェクト管理が後回しになり、タスクの更新が滞り、進捗が不透明になる——こうした悪循環が生まれていました。

プロジェクト管理に時間を使いたくない

第1回の記事でお伝えしたように、当社は管理会社ではありません。

当社が本当に時間を使いたいのは:

  • プロダクトの価値を高めること

  • ユーザーの声に応えること

  • プロダクトをより良くする方法を考えること

プロジェクト管理やレポーティングに時間を使いたくありません。

しかし同時に、プロジェクト管理を疎かにしたいわけでもありません。品質高く、効率的に進めたいのです。

そのために、当社は徹底的な自動化に取り組みました。

タスク管理の自動化

まず取り組んだのは、タスク管理の効率化です。

従来の課題

GitHubでのタスク管理には、以下の課題がありました:

  1. 一括処理ができない:担当者の一括設定、スプリントの一括設定などが困難

  2. 一覧性が低い:多くのタスクを俯瞰して確認しにくい

  3. 外部ステークホルダーに不向き:プロダクト・オーナーや外部関係者にとって、GitHubは馴染みのないツール

Google スプレッドシートとの双方向同期

当社は、GitHub ProjectsとGoogle スプレッドシートを自動的に双方向同期する仕組みを構築しました。

この仕組みにより:

  • スプレッドシートでの一括編集が可能に:コピー&ペーストで簡単に操作

  • 一覧性の向上:多くのタスクを俯瞰して確認できる

  • 誰でも使える:プロダクト・オーナーや外部ステークホルダーも馴染みのあるツールで確認・編集が可能

  • GitHubとの同期:スプレッドシートでの変更が自動的にGitHubに反映され、GitHubでの変更もスプレッドシートに反映される

タスク作成時間が、30秒から数秒に短縮されました。

さらに重要なのは、心理的負担が大幅に軽減されたことです。多くのボタンをクリックして、多くの画面を遷移する必要がなくなり、スプレッドシート上での簡単な操作でタスク管理ができるようになりました。

タスク作成の自動化

タスク管理の効率化だけでは、まだ不十分です。タスクを作成する際には、多くの情報を入力する必要があります。

当社は、タスク作成に関わる多くの作業を自動化しました。

1. タイトルの自動生成と翻訳

タスクには、階層構造を持たせています:

  • L1(大分類):例:設定、機能開発、バグ修正

  • L2(中分類):例:アカウント作成、ユーザー管理、エラー処理

  • L3(小分類・具体的内容):例:Sentryアラート通知設定、パスワードリセット機能

  • タスクコード:例:0-1-3(L1-L2-L3の番号)

スプレッドシートにこれらの情報を日本語で入力すると、システムが自動的に:

  • 英語のタイトルを生成:日本語から英語に自動翻訳

  • 適切なフォーマットで整形:0-1-3: Setup - Account Creation - Sentry Alert Notification Settings

  • GitHubに反映:英語タイトルと日本語タイトル(カスタムフィールド)の両方を設定

これにより、メンバーは日本語で考えたタスクを、英語に翻訳する手間なく、すぐにGitHubに登録できます。

2. 依存関係の自動管理とブロック状態の自動更新

タスク間に依存関係がある場合、それを管理するのは煩雑な作業です。

当社のシステムは:

  • 依存関係の自動追跡:スプレッドシートで依存関係を定義すると、GitHubのIssue Descriptionに自動的に反映

  • ブロック状態の自動判定:依存タスクが完了していない場合、自動的にブロック状態として認識

  • タイトルへの自動反映:ブロック中のタスクには、タイトルに🚫アイコンが自動的に追加

  • 担当者への自動通知:ブロック状態になった時、解消された時に、担当者に自動的にGitHubコメントで通知

例えば:

ブロック時:

@username ⚠️ This task is now blocked This task cannot be started because the following dependencies are not yet completed: - ⏳ #145 - Setup - Account Creation - API Implementation 

ブロック解消時:

@username ✅ This task is now unblocked! All dependencies have been completed. You can now start working on this task. 🚀 Ready to begin! 

これにより、メンバーは依存関係を手動で追跡する必要がなくなり、適切なタイミングでタスクに着手できます。

3. 実装タスクのサブタスク自動生成

開発タスクの場合、フロントエンド実装、フロントエンドレビュー、バックエンド実装、バックエンドレビューという4つのサブタスクが必要になることが多いです。

L3が「実装:」で始まるタスクを作成すると、システムが自動的に:

  • 親タスクを作成:(parent-issue)サフィックス付き

  • 4つのサブタスクを自動生成:Frontend ImplementationFrontend ReviewBackend ImplementationBackend Review

  • サブタスク間の依存関係を自動設定:Frontend Review は Frontend Implementation に依存、など

これにより、一つの入力で、構造化された5つのタスクが自動的に作成されます。

レポーティングの自動化

プロジェクト管理において、もう一つの大きな負担がレポーティングです。

日次、週次、スプリント全体のレポートを手作業で作成するのは、多くの時間を要します。さらに、正確性のレビューが必要で、多言語対応が必要な場合もあります。

自動レポート生成システム

当社は、4種類のレポートを自動的に生成するシステムを構築しました。

1. 日次レポート(毎営業日20:00 NPT)

  • 期日を迎えたタスクの状況(完了、進行中、未着手)

  • 次営業日が期日のタスク

  • スプリント全体の進捗率

  • スプリントの変化(追加・削除されたタスク)

2. 週次レポート(週末21:00 NPT)

  • 今週が期日のタスクの状況

  • 来週が期日のタスク

  • スプリント全体の進捗率

  • 週のスプリント変化の累計

3. スプリントレポート(スプリント終了日21:30 NPT)

  • スプリント全体の完了状況

  • スプリント期間全体での変化の累計

4. デイリースクラムサマリー(AI生成)

  • 日次レポート + デイリースクラム議事録をAIが要約

  • スプリント進捗のサマリー

  • デイリースクラムのハイライト

  • チームへのコメント

Google Chatへの自動投稿

すべてのレポートは、自動的に:

  • Google Chatのプロジェクトスペースに投稿:日本語版と英語版の両方

  • データベースに保存:後から参照・分析が可能

  • 営業日ベースで計算:土日・祝日を除外した適切な計算

これにより、誰も手動でレポートを作成する必要がなくなりました。関係者全員が、毎日・毎週・スプリント終了時に、自動的に生成されたレポートを確認できます。

具体的な成果

当社の自動化の取り組みは、2025年10月から試験運用を開始しました。

現時点での成果:

1. タスク作成時間の大幅短縮

  • 従来:一つのタスクを作成するのに約30秒

  • 現在:数秒で作成可能

  • 効率化:約10倍の時間短縮

2. 心理的負担の劇的な軽減

時間短縮以上に重要なのは、心理的負担の軽減です。

  • 従来:多くのボタンをクリック、多くの画面を遷移、多くの項目を入力

  • 現在:スプレッドシート上でのコピー&ペーストなど、簡単な操作

誰もやりたがらなかった作業が、気軽にできる作業になりました。

3. 一括処理の実現

  • 担当者の一括設定

  • スプリントの一括設定

  • タスクの一括コピー&編集

GitHubでは難しかった操作が、スプレッドシートで簡単にできるようになりました。

4. 情報の一覧性向上

スプレッドシートで、多くのタスクを俯瞰して確認できるようになり、プロジェクト全体の把握が容易になりました。

5. レポーティング作業の完全自動化

手作業でのレポート作成が完全になくなり、その時間を他のことに使えるようになりました。

DX化の本質

当社のプロジェクト管理のDX化は、単なる「効率化」ではありません。

その本質は、本質的なことに時間を使えるようにすることです。

プロジェクト管理やレポーティングに時間を取られなくなることで、チーム全員が:

  • プロダクトの価値向上に集中できる

  • ユーザーの声・要望・不満に応える時間が増える

  • プロダクト改善に時間を使える

  • より良いプロダクトを作るための議論ができる

これこそが、当社が目指す姿です。

当社は管理会社ではありません。プロダクト共創のパートナーです。だからこそ、プロジェクト管理を品質高く、効率的に進め、本質的なことに時間を使えるようにしているのです。

次回の記事では、この取り組みの成果と今後の展望について、さらに詳しくお伝えします。